奏恋心 OFFICIAL

EPISODE 00

二つの心と十二の導き

奏恋と奏心、二つの心を描いたイラスト。紫の装いの奏恋と、氷青の装いの奏心が砂時計を挟んで並ぶ

転生の儀は、完全なものとはならなかった。

異世界からの妨害によって、かつて峰尾こずえと呼ばれた彼女は、不完全な姿で新たな世界へと降り立った。

本来、彼女が得るはずだった名は――

奏恋心(カナデココ)。

しかし、その心は二つに分かたれていた。

一つは、恋(レン)。

グラビアを通して育まれた、女性としての魅力を強く宿す心。

もう一つは、心(イノリ)。

アイドルとして歩んできた日々の中で育まれた、人を癒す力を強く宿す心。

異なる二つの心を抱えたまま、彼女は見知らぬ大地で目を覚ました。

薄れゆく意識の中で、確かに聞こえた声があった。

転生の儀の最中、送り人が彼女に託した言葉。

「新たな地で、十二の賢人を探しなさい」

「火、風、水、地、氷、雷、光、闇――八つの加護」

「そして、心を繋ぐ四つの依代」

「できるだけ多くの騎士を集めなさい」

「彼らはあなたの力となり、次なる儀式への道を開くでしょう」

「2027年6月13日」

「その日、十二の導きを得たあなたは、本当の姿へと至るでしょう」

そして、送り人は告げた。

「あなたの本当の名は、奏恋心」

「音楽を愛し、人を慈しみ、優しさを伝える力を持つ者」

「あなたが望むように、その歌で誰かを支える人となれますように――」

混濁する記憶の中で、彼女はその言葉だけを胸に刻んだ。

自分が何者なのか。

これから何が待ち受けているのか。

そのすべてを理解するには、まだ時間が必要だった。

それでも、歩き出さなければならない。

新たな大地へ。

まだ見ぬ賢人たちのもとへ。

今はただ、出会う人々に精一杯の歌を届けよう。

その想いを道標に、彼女の新たな旅が始まった。